カリバチ

狩りバチの一種

カリバチ狩りバチカリウドバチ(狩人蜂)とは、広義にはハチ目有剣類のうち、ハナバチ類とアリを除いたグループの総称[1]。総じて、刺針を使って獲物を狩る習性がある。英語の「Wasp」に概ね相当するが、含まれる分類群の範囲が厳密には異なる(後述)。

狭義には、昆虫やクモなどの獲物に針で麻酔をかけ、適当な場所に運搬して産卵し、孵化した幼虫はその獲物を食べて育つ、という特徴を持つハチを指し、主にベッコウバチ科アナバチ科[2]セナガアナバチ科[3]スズメバチ科ドロバチ亜科)が該当する[2]寄生バチとの相違点は、幼虫の餌となる宿主を運搬するか否かである[2]。日本語では「寄生バチ」に相対する概念であるが、英語ではこれらも含めて「寄生バチ」(Parasitoid wasp)として扱われ、(狭義の)狩りバチの産卵形態も一種の寄生と見做される。

「Wasp」の範囲

「Wasp」はハチ亜目の中からアリハナバチ類を除いた側系統群である[4][5]

英語の「Wasp」はしばしば「狩りバチ」と訳されるが、「Wasp」はハチ亜目からハナバチ類(bee)とアリ(ant)を除いたグループの総称であり、有剣類からハナバチ類とアリを除いたグループである「(広義の)狩りバチ」とは若干範囲が異なる。(「Wasp」にはツノヤセバチ上科 Stephanoideaやヒメバチ上科 Ichneumonoidea、コバチ上科 Chalcidoideaが含まれるが、「狩りバチ」には含まれない。)そのため「Wasp」に対応する日本語は厳密には存在しないことになる。

出典

  1. ^ カリバチとは
  2. ^ a b c 狩人蜂とは
  3. ^ 山根正気, 幾留秀一 & 寺山守 1999, p. 469.
  4. ^ “Wasp”. National Geographic (2010年11月9日). 2022年8月10日閲覧。
  5. ^ Johnson, Brian R.; Borowiec, Marek L.; Chiu, Joanna C.; Lee, Ernest K.; Atallah, Joel; Ward, Philip S. (2013). “Phylogenomics Resolves Evolutionary Relationships among Ants, Bees, and Wasps”. Current Biology 23 (20): 2058–2062. doi:10.1016/j.cub.2013.08.050. PMID 24094856. http://www.cell.com/current-biology/pdf/S0960-9822(13)01056-7.pdf. 

参考文献

  • 山根正気、幾留秀一、寺山守「検索と解説 > 有剣類 (Aculeata) > ミツバチ(ハナバチ)上科 (Apoidea) > [アナバチ郡] (Spheciformes) > セナガアナバチ科 (Ampulicidae)」『南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説』(第1刷)北海道大学図書刊行会、1999年12月30日、469-471頁。ISBN 978-4832997615。 NCID BA45663230。国立国会図書館書誌ID:000002897579・全国書誌番号:20079042。 
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