スーパーシリーズ (アイスホッケー)

スーパーシリーズ(Super Series)は、1976年から1991年までの間、北米でソビエト連邦アイスホッケーチーム(主に国内リーグ、ソビエト・チャンピオンシップリーグ所属の選手)とNHLチームが対戦した一連の試合。例外として1983年はアイスホッケーソビエト連邦代表が参戦した。シリーズはソビエト連邦のチームが14勝、NHLチームが2勝している。

カナダのトッププロとソビエト選手とのそれまでの対戦

アイスホッケーカナダ代表はトッププロ選手の出場が許可されなかったため、1970年から1976年まで国際アイスホッケー連盟が主催する国際試合をボイコットしていた。1972年9月にNHLのトップ選手とソビエト連邦代表が対戦するサミット・シリーズが開催された。当時の新聞報道ではソ連が1点でも入れることができたら自分の書いた新聞の記事を食べてみせると豪語する記者も現れる[1]ほどNHLチームが圧倒的に有利と見られていたもののシリーズはカナダの4勝3敗1分で終わり、ソビエト連邦のプレーにカナダ人選手たちは驚かされた[2]。1974年にはWHAとソビエト連邦代表が対戦する1974年サミット・シリーズが開催されたがほとんどのケベックの新聞はWHAの惨敗を予想し[3]4勝1敗3分でソビエト連邦代表がシリーズを制した。

ソビエト/NHLのシリーズ対戦成績

ソビエトチーム NHLチームとの
対戦回数
ソビエトチーム
勝利回数
NHLチーム
勝利回数
引分
回数
ソビエトチーム
勝率
試合数 ソビエトチーム
勝利試合数
NHLチーム
勝利試合数
引き分け
試合数
ソビエトチーム
勝率
CSKAモスクワ 6 6 0 0 1.000 34 24 8 2 0.735
ディナモ・モスクワ 4 4 0 0 1.000 20 10 6 4 0.600
クリリャ・ソビエトフ[4] 3 2 1 0 0.667 13 6 5 2 0.538
スパルタク・モスクワ 1 1 0 0 1.000 5 3 2 0 0.600
 ソビエト連邦代表 1 1 0 0 1.000 6 4 2 0 0.667
ヴォスクレセンスク 2 0 0 2 0.500 13 6 6 1 0.500
ディナモ・リガ 1 0 1 0 0.000 7 2 4 1 0.357
合計 18 14 2 2 0.833 98 55 33 10 0.612

ソビエトチームとNHLチームの勝敗

NHLチーム ソビエトチーム 合計
CSKA ディナモ クリリャ・ソベトフ スパルタク  ソ連代表 ヴォスクレセンスク リガ
GP PCT GP PCT GP PCT GP PCT GP PCT GP PCT GP PCT GP PCT
ニューヨーク・レンジャース 3 0.000 1 0.000 4 0.000
モントリオール・カナディアンズ 3 0.500 1 1.000 1 1.000 1 0.000 1 0.000 7 0.500
ボストン・ブルーインズ 2 0.000 2 0.000 1 0.000 1 0.000 6 0.000
フィラデルフィア・フライヤーズ 2 0.500 1 0.000 1 0.500 1 0.000 5 0.300
ピッツバーグ・ペンギンズ 1 1.000 3 0.167 1 0.000 5 0.300
バッファロー・セイバーズ 2 1.000 2 0.500 1 1.000 1 0.000 6 0.667
シカゴ・ブラックホークス 2 0.000 1 0.000 1 1.000 4 0.250
ニューヨーク・アイランダーズ 2 0.000 2 0.500 1 0.500 5 0.300
バンクーバー・カナックス 2 0.000 1 1.000 1 1.000 1 1.000 5 0.600
コロラド・ロッキーズ /
ニュージャージー・デビルズ
1 0.000 2 0.750 1 0.000 4 0.375
セントルイス・ブルース 1 0.000 1 0.000 2 0.500 1 1.000 5 0.400
アトランタ / カルガリー・フレームス 1 0.000 1 1.000 1 0.000 1 1.000 1 1.000 1 0.500 6 0.583
ミネソタ・ノーススターズ 2 0.000 1 0.000 1 0.000 1 1.000 1 0.000 6 0.167
デトロイト・レッドウィングス 1 0.000 1 1.000 1 0.000 3 0.333
ウィニペグ・ジェッツ 2 0.500 1 0.000 3 0.333
エドモントン・オイラーズ 2 0.500 1 0.000 1 1.000 1 1.000 1 1.000 6 0.667
ワシントン・キャピタルズ 2 0.750 1 1.000 1 1.000 4 0.875
ケベック・ノルディックス 3 0.500 1 0.000 1 0.500 1 0.000 6 0.333
ロサンゼルス・キングス 1 0.000 2 0.500 1 0.000 4 0.250
ハートフォード・ホエーラーズ 1 0.000 1 0.500 1 1.000 3 0.500
トロント・メープルリーフス 2 0.500 2 0.500
合計 34 0.265 20 0.400 13 0.462 5 0.400 6 0.333 13 0.500 7 0.643 98 0.388
  • GP: 対戦試合数
  • PCT: NHLチーム側の勝率

1975/76年スーパーシリーズ

詳細は「en:Super Series '76」を参照

このシリーズはソ連のトップクラブとNHLのプロチームの初対戦となった[4]

CSKAは2勝1敗1分、ソビエトフは3勝1敗でシリーズを制した。

詳細は「en:1976 Philadelphia Flyers–Red Army game」を参照

CSKAとフライヤーズの対戦ではフライヤーズの選手たちによるラフプレーがあまりにもひどかったため、ソ連のコーチ、コンスタンティン・ロクテフは第1ピリオドで選手をリンクから引き上げさせたが、フライヤーズオーナーがルールに従った試合を約束したため試合は続けられた[7]。この試合に対してボビー・ハルは「スティックは惨殺者になるためにわれわれに与えられているのではなく、観客に楽しい試合を見せるためにあるのだ。」、ニューヨーク・タイムズは「ホッケーにテロが勝った」と評した[8]。一方、こうした声に対してフライヤーズのヘッドコーチ、フレッド・シェロは「非難を浴びているのはわれわれが最強チームだからであり、他のチームよりガッツがあっただけ、断固たる態度がロシア人を圧倒したのだと思っている。」と語った[9]

1978年スーパーシリーズ

スパルタク・モスクワが3勝2敗でシリーズを制した。

1979年スーパーシリーズ

クリリヤ・ソビエトフが2勝1敗1分でシリーズを制した。

1980年スーパーシリーズ

ディナモ・モスクワが2勝1敗1分でシリーズを制した。

CSKAが3勝2敗でシリーズを制した。

1983年スーパーシリーズ

ソ連代表が4勝2敗でシリーズを制した。

1986年スーパーシリーズ

CSKAが5勝1敗でシリーズを制した。

ディナモ・モスクワが2勝1敗1分でシリーズを制した。

1989年スーパーシリーズ

CSKAが4勝2敗1分でシリーズを制した。

ディナモ・リガは2勝4敗1分でシリーズに敗れた。

1990年スーパーシリーズ

ヴォスクレセンスクとNHLのシリーズは3勝3敗で引き分けに終わった。

クリリヤ・ソビエトフは1勝3敗1分でシリーズに敗れた。

CSKAは4勝1敗でシリーズを制した。

ディナモ・モスクワは3勝2敗でシリーズを制した。

1991年スーパーシリーズ

ヴォスクレセンスクとNHLのシリーズは3勝3敗1分で引き分けに終わった。

CSKAが6勝1敗でシリーズを制した。

ディナモ・モスクワが3勝2敗2分でシリーズを制した。

参考文献

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ トレチャク、62頁
  2. ^ トレチャク、64-66頁
  3. ^ トレチャク、71頁
  4. ^ a b トレチャク、102頁
  5. ^ トレチャク、110頁
  6. ^ “PINNACLE”. legendsofhockey.net (2004年2月10日). 2009年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月12日閲覧。
  7. ^ トレチャク、120-121頁
  8. ^ トレチャク、119頁
  9. ^ トレチャク、120頁

関連項目

  • サミット・シリーズ
  • 1974年サミット・シリーズ
  • 1979年チャレンジカップ
  • Rendez-vous '87
  • NHLチャレンジ
  • ビクトリアカップ
  • KHL対NHL

外部リンク

  • SUPER SERIES '75-76:CSKA and Krylya Sovetov vs NHL clubs (英語)
  • Canada Versus the Soviet Union (英語)