フェリペ6世 (スペイン王)

この名前は、スペイン語圏の人名慣習に従っています。第一姓(父方の姓)はデ・ボルボン第二姓(母方の姓)はグレシアです。
フェリペ6世
Felipe VI
スペイン国王
フェリペ6世(2023年
在位 2014年6月19日 - 在位中
即位式 2014年6月19日
於 スペイン国会下院
首相

全名 Felipe Juan Pablo Alfonso de Todos los Santos de Borbón y Grecia
フェリペ・フアン・パブロ・アルフォンソ・デ・トードス・ロス・サントス・デ・ボルボン・イ・グレシア
出生 (1968-01-30) 1968年1月30日(56歳)
スペインの旗 スペインマドリード
配偶者 レティシア・オルティス
子女 レオノール
ソフィア
家名 ブルボン家
王朝 スペイン・ブルボン朝
父親 フアン・カルロス1世
母親 ソフィア・デ・グレシア
宗教 キリスト教カトリック教会
サイン
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称号:国王
敬称 陛下
His Majesty the King
スペイン王室


  • 国王フアン・カルロス1世(前国王)
    • 王妃ソフィア(前王妃)

傍系王族

フェリペ6世スペイン語: Felipe VI, 1968年1月30日 - )は、スペイン国王(在位: 2014年6月19日 - )。前国王フアン・カルロス1世と王妃ソフィアの長男。全名は、フェリペ・フアン・パブロ・アルフォンソ・デ・トードス・ロス・サントス・デ・ボルボン・イ・グレシアFelipe Juan Pablo Alfonso de Todos los Santos de Borbón y Grecia)。

姉にエレナ王女とクリスティーナ王女がいる。

来歴

王位継承以前

フランコ政権時代後期のマドリードで生まれる。全名のうち「フェリペ・フアン・パブロ・アルフォンソ」はスペイン・ブルボン朝初代のフェリペ5世、父方の祖父バルセロナ伯フアン、母方の祖父ギリシャ王パウロス1世、父方の曽祖父アルフォンソ13世にちなんで付けられている[1]。フェリペ誕生の翌年、1969年に父フアン・カルロスを王位継承者とする法律が成立し、1975年にフランシスコ・フランコが死去するとフアン・カルロスが国王に即位した。1977年1月、9歳の誕生日を前に、フェリペは王位継承者としてアストゥリアス公に叙された。

  • 姉のクリスティーナと1歳のフェリペ(1969年8月)
    姉のクリスティーナと1歳のフェリペ(1969年8月)
  • 1975年に父がスペイン国王に即位した式典でのフェリペ(前列・左)
    1975年に父がスペイン国王に即位した式典でのフェリペ(前列・左)

カナダオンタリオ州にあるレイクフィールド・カレッジ・スクール(英語版)Lakefield College School)を卒業後、マドリード自治大学で法律を学んだ。のちジョージタウン大学に留学している(ジョージタウン大学では、ギリシャ王国最後の王太子で母方の従兄であるパウロスとルームメイトだった)。

フアン・カルロス1世同様スポーツマンとして知られ、1992年、バルセロナオリンピックの時にはヨットの選手として出場したほか、開会式で旗手を務めた。2メートル近い長身でも知られる[2]

2004年5月22日、国営TVキャスターのレティシア・オルティスと結婚。2005年10月31日に長女レオノール(現アストゥリアス女公)が、2007年4月29日に次女ソフィアが誕生した。

2005年6月2日、レティシアと共に結婚後初めて日本を訪問、皇居での晩餐会に出席した。6月5日、「愛・地球博」を訪れた。

2006年6月14日、FIFAワールドカップ ドイツ大会で、スペイン代表の本大会初戦であるウクライナ戦を夫婦で観戦した。またスペイン代表が初優勝した2010 FIFAワールドカップ・決勝も観戦している。

2008年にはウィンブルドン選手権男子シングルスを夫婦で観戦した。自国のラファエル・ナダルが優勝を決めたときは、ボックス席から降り、ナダルの手を握り祝福した[3]

即位

国民からは人気があり、2013年3月にスペイン紙が行った世論調査では、父フアン・カルロス1世について過半数が「支持しない」と回答したのに対し、フェリペは「支持する」が61%、「支持しない」が33%と高い支持率を示した[4]。そのため、父フアン・カルロス1世に代わって、フェリペが即位することがこの時期から検討されてきた[5]

2014年6月2日、フアン・カルロス1世の退位(スペイン語版)の決定がマリアーノ・ラホイ首相によって発表され[6]、6月18日にはスペイン上院下院ともに国王の退位に関する法律を可決した。フアン・カルロス国王がこれに署名したため、19日未明に同法の発効とともにフアン・カルロスは退位し、フェリペが即位した[7]。フェリペは同日議会下院議事堂で挙行された即位宣誓式に臨んだ[8][9]。なお、戴冠はせず、即位式に際して国王の前にある机に、スペイン王の権威の象徴である王冠錫杖が置かれた。即位に際して当時の日本の天皇であった明仁からも祝電が送られた[10]

  • 国会下院で行われた即位式に臨み、即位宣誓をするフェリペ6世
    国会下院で行われた即位式に臨み、即位宣誓をするフェリペ6世
  • スペイン王室のレガリア
    スペイン王室のレガリア

なお、スペイン国民は、王室の存続を問う国民投票が実施されたら、49%がフェリペ王太子の即位を支持、36%が共和制への移行に投票すると回答している[11]

夫妻はお忍びでコンサートや大衆レストランを訪れて一般席でコンサートや食事を楽しむなど謙虚な振る舞いで知られ、前国王の様々な不祥事(「フアン・カルロス1世 (スペイン王)#譲位」参照)で2014年に5割を切った世論調査での王室支持率は6割程度へ回復している[12]

日本訪問

2017年(平成29年)4月4日から7日、レティシア王妃と共に、国王に即位してから初めて国賓として日本を訪問した。陸上自衛隊特別儀仗隊による儀仗実務を受けた。儀仗後、皇居宮殿竹の間での天皇明仁と皇后美智子(いずれも当時)との会見をした際、 来日直前の3月27日栃木県那須郡那須町雪崩が発生し、県立大田原高等学校の生徒ら多数が死亡した事故が発生したことに関し、スペイン国王フェリペ6世は天皇明仁に「お見舞いの言葉」を送り、天皇は感謝の意を示した[13]

その後、宮中晩餐会内閣総理大臣主催夕食会に出席した。宮中晩餐会の席上、天皇は「フェリペ6世がアストゥリアス公だったとき、2011年の「アストゥリアス皇太子賞(平和部門)」を「フクシマ50」に授賞したこと」に言及し、「我が日本国民は励まされた」と感謝の意を表した[14]4月7日には、天皇明仁及び皇后美智子(当時)とともに東海道新幹線の臨時特別列車で静岡県静岡市を訪問。静岡県地震防災センターなどを見学した後[15]1611年にフェリペ3世が徳川家康に寄贈した洋時計などを鑑賞。静岡空港から帰国の途に就いた[16][17]

2019年令和元年)10月21日に迎賓館赤坂離宮日本内閣総理大臣安倍晋三と会談し、翌22日の即位礼正殿の儀に参列した[18]

系譜

フェリペ6世 父:
フアン・カルロス1世 (スペイン王)
祖父:
フアン (バルセロナ伯)
曾祖父:
アルフォンソ13世 (スペイン王)
曾祖母:
ヴィクトリア・ユージェニー
祖母:
マリア・デ・ラス・メルセデス
曾祖父:
カルロ・タンクレーディ
曾祖母:
ルイーズ
母:
ソフィア
祖父:
パウロス1世 (ギリシャ王)
曾祖父:
コンスタンティノス1世 (ギリシャ王)
曾祖母:
ソフィア
[1]
祖母:
フリデリキ
曾祖父:
エルンスト・アウグスト (ブラウンシュヴァイク公)
曾祖母:
ヴィクトリア・ルイーゼ
[2]
[1]の父はドイツ皇帝フリードリヒ3世、[2]の父は[1]の兄のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世であり、[1]と[2]は叔母と姪の関係にある。

その他

  • 1982年から1992年まで発行されていた1万ペセタ紙幣の裏面に肖像が使用されていた。表面は父王のフアン・カルロス1世。
  • 父のフアン・カルロス1世はレアル・マドリードのファンとして知られているが、フェリペと長女のレオノールはアトレティコ・マドリードのファンであり、名誉会長を務めている(次女のソフィアはレアル・マドリードのファン)。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ フェリペ6世経歴(スペイン王室公式サイト(スペイン語)、2021年2月9日閲覧)
  2. ^ “スペイン国王が退位へ=「民主化の象徴」-フェリペ皇太子が継承”. 時事通信. ジョルダンニュース!. (2014年6月2日). http://news.jorudan.co.jp/docs/news/detail.cgi?newsid=JJ140602X302 2014年6月20日閲覧。 
  3. ^ Rafael Nadal and Crown Prince Felipe of Spain Photos
  4. ^ “「国王支持しない」、世論調査で過半数 スペイン”. AFPBB News国際ニュース. (2013年4月8日). https://www.afpbb.com/articles/-/2937780?pid=10552630 2013年4月8日閲覧。 
  5. ^ 野村悦芳 (2013年5月19日). “オランダに続きベルギー・スペインも 高齢国王に退位論”. 東京新聞 (はてな). オリジナルの2013年5月31日時点におけるアーカイブ。. http://b.hatena.ne.jp/entry/www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013051902000121.html 2013年5月19日閲覧。 
  6. ^ “El rey abdica en su hijo el príncipe Felipe” (スペイン語). TVE (2014年6月2日). 2014年6月2日閲覧。
  7. ^ “スペイン議会、国王退位を承認 新国王即位へ”. AFPBB News. (2014年6月18日). https://www.afpbb.com/articles/-/3018107 2020年8月4日閲覧。 
  8. ^ “スペイン新国王が即位 議会で宣誓、質素な継承”. 共同通信. 47NEWS. (2014年6月19日). https://web.archive.org/web/20140621143956/http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014061901001513.html 2014年6月20日閲覧。 
  9. ^ 野村悦芳 (2014年6月20日). “フェリペ6世 新国王宣誓式 スペイン王位を継承”. 東京新聞. http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014062002000121.html 2014年6月20日閲覧。 
  10. ^ “天皇陛下 スペインの新国王を祝福”. EFE. VOICE OF RUSSIA. (2014年6月19日). http://japanese.ruvr.ru/news/2014_06_19/273707776/ 2014年6月20日閲覧。 
  11. ^ “スペイン下院、国王退位を承認”. AFPBB News (2014年6月12日). 2014年6月21日閲覧。
  12. ^ 【世界のロイヤル】スペイン フェリペ国王(51)2014年/王妃の人柄 支持戻す『読売新聞』朝刊2019年5月4日(特別面)
  13. ^ 「両陛下、スペイン国王夫妻とご会見」産経ニュース2017年4月5日
  14. ^ 国賓 スペイン国王陛下及び王妃陛下のための宮中晩餐 平成29年4月5日(水)(宮殿)宮内庁
  15. ^ “スペイン国王夫妻静岡へ、両陛下と防災センターや浅間神社を訪問”. フランス通信社 (2017年4月7日). 2020年12月16日閲覧。
  16. ^ “皇室7days-皇室とっておき”. 朝日新聞. (2017年3月31日). https://www.asahi.com/special/koushitsu/schedule/ 2017年4月4日閲覧。 
  17. ^ “両陛下、国王夫妻と静岡訪問=スペインゆかりの時計鑑賞”. 時事ドットコム. (2017年4月7日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2017040701163&g=soc 
  18. ^ 令和元年10月21日 即位礼正殿の儀参列者との二国間会談等(3) | 令和元年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、フェリペ6世 (スペイン王)に関連するカテゴリがあります。
  • フェリペ6世 - Olympedia(英語) ウィキデータを編集
スペイン王室
先代
フアン・カルロス1世
スペインの旗 スペイン国王
2014年 - 在位中
次代
-
先代
アルフォンソ
アストゥリアス公
1977年 - 2014年
次代
レオノール
アブスブルゴ朝

カルロス1世1516-1556 / フェリペ2世1556-1598 / フェリペ3世1598-1621 / フェリペ4世1621-1665 / カルロス2世1665-1700

ボルボン朝

フェリペ5世1700-1724 / ルイス1世1724 / フェリペ5世(復位)1724-1746 / フェルナンド6世1746-1759 / カルロス3世1759-1788 / カルロス4世1788-1808 / フェルナンド7世1808

ボナパルテ朝

ホセ1世1808-1813

ボルボン朝

フェルナンド7世(復位)1813-1833 / イサベル2世1833-1868

サボヤ朝

アマデオ1世1870-1873

第一共和政
1873-1874

ボルボン朝

アルフォンソ12世1874-1885 / アルフォンソ13世1886-1931

第二共和政
1931-1939

ボルボン朝

フアン・カルロス1世1975-2014 / フェリペ6世2014-現在

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  • Garter Principal King of Armsトマス・ウッドコック
  • Secretary:パトリック・ディキンソン(英語版)
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