ヘリシティー (素粒子)

ヘリシティー: helicity)は、粒子スピンの回転方向を表す数値である。その値が-のものを左巻き、+のものを右巻きと呼ぶ。

概要

数学的には、スピン S {\displaystyle {\vec {S}}} 運動量の向き p ^ {\displaystyle {\hat {p}}} への射影として、次のように表される:

h = S p ^ , p ^ = p / | p | {\displaystyle h={\vec {S}}\cdot {\hat {p}},\qquad {\hat {p}}={\vec {p}}/|{\vec {p}}|}

ある軸に関するスピンの固有値は離散的な値なので、ヘリシティーの固有値は離散的である。スピンSの粒子について、ヘリシティーの固有値はS, S − 1, ..., −Sである。スピンSの粒子で計測されるヘリシティーは−Sから+Sの範囲を取りうる。ヘリシティーは、 S {\displaystyle {\vec {S}}} の代わりに全角運動量演算子 J {\displaystyle {\vec {J}}} によって等価に書き表すことができる。これは、線運動量に沿った軌道角運動量の射影は次のように0になるためである:

L p = 0   . {\displaystyle {\vec {L}}\cdot {\vec {p}}=0\ .}

3 + 1次元において、質量を持たない粒子についての小群SE(2)二重被覆である。これは、SE(2)の"並進"に対して不変でありSE(2)のθ回転に対してei変換を行うユニタリ表現を持つ。これはヘリシティーh表現である。SE(2)の並進に対して非自明に変換を行う別のユニタリ表現もある。これは、連続スピン表現である。

d + 1次元において、小群はSE(d − 1) の二重被覆である。(d ≤ 2の場合はエニオンなどのためにさらに複雑である。)前述のように、"標準"表現(SE(d − 1)の"並進")および"連続スピン"表現に対して変換を行わない(不変である)ユニタリ表現が存在する。

質量を持たないスピン-12粒子にとって、ヘリシティーは / 2 {\displaystyle \hbar /2} 倍されたカイラル演算子と等価である。

関連項目

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