伊豆半島ジオパーク

伊豆半島のランドサット衛星写真
スペースシャトル標高データ使用。

伊豆半島ジオパーク(いずはんとうジオパーク、: Izu Peninsula Geopark)は、静岡県伊豆半島における大地(ジオ)が育んだ貴重な資産を多数備えた地域が、それらの保全と活用によって経済・文化活動を高め、結果として地域振興につなげていく仕組みである[1]。メインテーマは「南から来た火山の贈りもの」で、これは伊豆半島がフィリピン海プレートに載って南から来た火山島であったことに由来する。

2011年3月28日に静岡県伊豆地域13の基礎自治体と県、各種団体、企業、大学などが協力して、伊豆半島ジオパーク推進協議会を設立[2]2012年9月24日に日本ジオパークネットワークへの加盟が認められた[2]2018年4月17日国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)から国内9地域目の世界ジオパークに認定された[3][4]

沿革

  • 2009年秋 - 伊豆半島ジオパーク構想の検討会議が発足[5]
  • 2010年2月 - 伊豆半島6市6町首長会議が伊豆半島ジオパーク構想の推進に合意[5]
  • 2010年7月 - 伊豆半島ジオパーク構想シンポジウムが伊東市で開催[5]
  • 2010年8月 - 大室山が天然記念物指定を受ける[5]
  • 2010年9月 - 伊豆半島各地でジオパーク構想地域研究会が始まる[5]
  • 2011年3月28日 - 伊豆半島ジオパーク推進協議会を設立[2]
  • 2012年9月24日 - 日本ジオパークに認定される[2]
  • 2012年11月2日 - 日本ジオパークの認定証が交付される[6]
  • 2013年12月16日 - 申請していたエリア拡大が、日本ジオパーク委員会に認められ、長泉町と清水町が加わる[7]
  • 2016年2月29日 - 事務局が「伊東市役所内」から伊豆市「修善寺総合会館内」へ移転[8]
  • 2016年4月2日 - 伊豆市の修善寺総合会館内に伊豆半島ジオパークミュージアム「ジオリア」が開館[9]
  • 2016年7月 ユネスコに申請の意思表示
  • 2016年11月 - ユネスコに申請書を提出[4]
  • 2017年7月 - ユネスコ派遣の現地審査員2名による現地審査[4]
  • 2017年9月 - ユネスコ世界ジオパーク・カウンシルにおける審議[4]
  • 2018年4月17日 - 第204回ユネスコ執行委員会において、国内9地域目の世界ジオパークに認定が決定される[4][3]
  • 2022年4月1日 - 一般社団法人美しい伊豆創造センターと統合

主なジオサイト

ジオサイトとはジオパークの個々の指定地、みどころのこと。伊豆半島の大地を造り上げた数々の大型火山や、伊豆東部火山群に由来したものが多く指定されている。以下は伊豆半島ジオパーク推進協議会の公式サイトで解説されているものの一部である。

  • 富士山から流れ出した三島溶岩。その末端部にある楽寿園では湧水があり、それが源兵衛川となる
    富士山から流れ出した三島溶岩。その末端部にある楽寿園では湧水があり、それが源兵衛川となる
  • 清流、源兵衛川と遊歩道
    清流、源兵衛川と遊歩道
  • 白滝公園
    白滝公園
  • 鮎壺の滝
    鮎壺の滝
  • 三嶋大社
    三嶋大社
  • 千本浜と牛臥山
    千本浜と牛臥山
  • 津波対策施設のびゅうお(水門兼展望台)
    津波対策施設のびゅうお(水門兼展望台)
  • 淡島
    淡島
  • 湧水がつくる柿田川
    湧水がつくる柿田川
  • 香貫山展望台から
    香貫山展望台から
  • 初島
    初島
  • 走り湯
    走り湯
  • 玄岳ジオサイトから丹那断層が走る丹那盆地を望
    玄岳ジオサイトから丹那断層が走る丹那盆地を望
  • 北伊豆地震を引き起こした丹那断層を保存した断層公園
    北伊豆地震を引き起こした丹那断層を保存した断層公園
  • 大瀬崎 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
    大瀬崎 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  • 御浜岬
    御浜岬
  • 火山の地下にあったマグマが固まり侵食されて現れてできた城山
    火山の地下にあったマグマが固まり侵食されて現れてできた城山
  • 旭滝と柱状節理
    旭滝と柱状節理
  • 狩野川放水路
    狩野川放水路
  • 地震動の擦痕
    地震動の擦痕
  • 鉢窪山スコリア丘から流れた玄武岩溶岩を流れ落ちる浄蓮の滝
    鉢窪山スコリア丘から流れた玄武岩溶岩を流れ落ちる浄蓮の滝
  • 伊豆東部火山群の大室山
    伊豆東部火山群の大室山
  • 主に大室山スコリア丘から流れ出した溶岩が造った城ヶ崎海岸
    主に大室山スコリア丘から流れ出した溶岩が造った城ヶ崎海岸
  • 小室山
    小室山
  • 登り尾南火山から流れ出た溶岩を流れ落ちる河津七滝の大滝
    登り尾南火山から流れ出た溶岩を流れ落ちる河津七滝の大滝
  • 細野高原
    細野高原
  • 爪木崎、俵磯の柱状節理
    爪木崎、俵磯の柱状節理
  • 弁天島の斜交層理
    弁天島の斜交層理
  • 龍宮窟は海食洞の天井が崩れてできた
    龍宮窟は海食洞の天井が崩れてできた
  • 石廊崎
    石廊崎
  • ユウスゲ公園付近から
    ユウスゲ公園付近から
  • 中木の柱状節理、ヒリゾ浜行きの渡船から
    中木の柱状節理、ヒリゾ浜行きの渡船から
  • 千貫門(岩頸)と烏帽子山
    千貫門(岩頸)と烏帽子山
  • 堂ヶ島、沢田公園から
    堂ヶ島、沢田公園から
  • 黄金崎
    黄金崎

なお、ジオサイトは自然の姿が保たれていることが重要視されるため、万城の滝など、本来はジオサイトにふさわしいものであっても、安易な整備が施されてしまったため、候補地とならなかったものもある[10]

北伊豆エリア

  • 三島ジオサイト
  • 静浦・内浦ジオサイト
    • 淡島
    • 内浦
    • 口野
  • 千本浜・牛臥山ジオサイト
  • 鮎壺の滝ジオサイト
  • 境川・清住緑地・丸池ジオサイト
    • 境川・清住緑地
    • 丸池
  • 柿田川ジオサイト
  • 桃沢川ジオサイト
  • 香貫山ジオサイト

熱海エリア

函南エリア

大瀬崎・戸田エリア

中伊豆北エリア

中伊豆南エリア

伊東エリア

  • 富戸・城ヶ崎海岸北ジオサイト
    • 門脇埼
  • 城ヶ崎海岸南ジオサイト
  • 伊東温泉ジオサイト
  • 大室山ジオサイト
  • 小室山ジオサイト
    • 小室山スコリア丘

河津・東伊豆エリア

  • 河津・七滝ジオサイト
  • 稲取ジオサイト
    • 稲取火山列
  • 熱川・北川ジオサイト
    • 穴切海岸の天城山の厚い溶岩流や海食洞
  • 鉢ノ山ジオサイト
  • 細野高原ジオサイト

下田エリア

南伊豆エリア

西伊豆エリア

  • 土肥金山ジオサイト
  • 堂ヶ島・仁科港ジオサイト
  • 仁科川・宝蔵院ジオサイト
    • 海底火山から噴出した枕状溶岩や水底土石流の地層
  • 岩地・石部・雲見ジオサイト
    • 千貫門、室岩洞、烏帽子山
    • 石部の棚田
  • 黄金崎ジオサイト

ミュージアムとビジターセンター

博物館事業と教育事業に関して、一般社団法人「美しい伊豆創造センター」は2023年5月[11]、國學院大学博物館との連携を発表した[注釈 1]

伊豆半島ジオパークミュージアム
伊豆半島ジオパークの位置(日本内)
伊豆半島ジオパーク
日本内の位置
日本の地図を表示
伊豆半島ジオパークの位置(関東地方内)
伊豆半島ジオパーク
伊豆半島ジオパーク (関東地方)
関東地方の地図を表示
伊豆半島ジオパークの位置(静岡県内)
伊豆半島ジオパーク
伊豆半島ジオパーク (静岡県)
静岡県の地図を表示
施設情報
愛称 ジオリア[9]
専門分野 地球科学
事業主体 伊豆半島ジオパーク推進協議会
開館 2016年4月2日
所在地 422-8017
日本の旗 日本静岡県伊豆市修善寺838-1 修善寺総合会館内
位置 北緯34度58分21.7秒 東経138度55分59.9秒 / 北緯34.972694度 東経138.933306度 / 34.972694; 138.933306
外部リンク
  • izugeopark.org/georia/
  • ジオリア (georiaizu) - Facebook
プロジェクト:GLAM
テンプレートを表示
  • 伊豆半島ジオパークミュージアム ジオリア(修善寺総合会館内/伊豆市)[9]
    • 三島ジオパークビジターセンター(三島市総合観光案内所内/三島市[15]
    • 松崎ジオパークビジターセンター(明治商家 中瀬邸内/賀茂郡松崎町[15]
    • 天城ジオパークビジターセンター(道の駅天城越え・昭和の森会館内/伊豆市[15]
    • 南伊豆町ジオパークビジターセンター(石廊崎オーシャンパーク内/賀茂郡南伊豆町[15]
    • 東伊豆ジオパークビジターセンター(熱川温泉観光協会内/賀茂郡東伊豆町[15]
    • 下田ジオパークビジターセンター(道の駅「下田開国みなと」内/下田市[15]
    • 河津七滝ジオパークビジターセンター(河津七滝観光センター内/賀茂郡河津町[15]
    • 伊東ジオパークビジターセンター(ジオテラス伊東 伊豆急行伊豆急行線伊豆高原駅」構内/伊東市[15]
    • 沼津ジオパークビジターセンター(道の駅「くるら戸田」内/沼津市戸田)[15]
    • 伊豆の国ジオパークビジターセンター(道の駅「伊豆のへそ」内/伊豆の国市
    • 長泉ジオパークビジターセンター(JR御殿場線下土狩駅前 長泉町生涯学習支援施設「コミュニティながいずみ」内/駿東郡長泉町[16]


    脚注

    [脚注の使い方]

    注釈

    1. ^ 静岡新聞の報道 [12]。 伊豆半島ジオパークの公式発表 [13]の告知によると、ジオリアは國學院大学博物館の展示 [14]に関連して展示と野外観察を行う。

    出典

    1. ^ 出典 : 静岡県 伊豆半島ジオパーク構想指針書 指針書【第5章~第12章】 (PDF)
    2. ^ a b c d 出典 : 伊豆半島ジオパーク公式サイト
    3. ^ a b “伊豆半島をジオパークに認定 ユネスコ、国内9地域目”. 日本経済新聞. (2018年4月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29491060X10C18A4CR8000/ 2018年4月17日閲覧。 
    4. ^ a b c d e “「伊豆半島」のユネスコ世界ジオパーク新規認定について” (PDF). 日本ジオパークネットワーク. (2018年4月17日). http://www.geopark.jp/jgn/news/2018/pdf/20180417_01.pdf 2018年4月17日閲覧。 
    5. ^ a b c d e 出典 : 指針書【第1章~第4章】 (PDF)
    6. ^ 出典 : 伊豆半島に日本ジオパーク認定証 高知で全国大会(2012/11/ 3 07:50) - @S(静岡新聞 SBS)、2012年11月6日閲覧[リンク切れ]
    7. ^ 日本ジオパーク委員会2013年12月16日プレスリリース  - 日本ジオパークネットワーク
    8. ^ 出典 : 伊豆半島ジオパーク公式サイト、2016年4月閲覧
    9. ^ a b c 「情報発信拠点“ジオリア”が開館 伊豆ジオパーク」『静岡新聞』、2016年4月3日08:20。2016年4月3日閲覧。
    10. ^ 出典 : 静岡大学防災総合センター 静岡大学教育学部総合科学教室 小山真人研究室「伊豆ジオパークの目標(10)ジオパークの保全 伊豆新聞連載記事(2011年5月22日)
    11. ^ “國學院大學博物館との連携協定を締結しました。”. 新着情報. 美しい伊豆創造センター (2023年5月24日). 2023年8月23日閲覧。
    12. ^ 「国学院大博物館と連携協定を締結 伊豆創造センター」『静岡新聞』、2023年5月23日。2023年8月23日閲覧。
    13. ^ GeoparkIzu Peninsula「「國學院大學博物館との連携協定を締結」」『伊豆半島ジオパーク > プレスリリース』、伊豆半島ジオパーク、2023年5月23日。https://izugeopark.org/2023年8月23日閲覧 
    14. ^ 國學院大學博物館. “特別展・企画展詳細”. 國學院大學博物館. 2023年8月23日閲覧。 “会期:令和5(2023)年9月23日(土・祝)~11月19日(日)”
    15. ^ a b c d e f g h i 公式サイト、“ビジターセンター・関連施設 一覧”. 伊豆半島ジオパーク推進協議会. 2023年8月23日閲覧。
    16. ^ “ジオパーク 模型や展示で 長泉にビジターセンター”. 静岡新聞 (2016年4月2日08:54). 2016年4月3日閲覧。

    関連書籍

    • 『伊豆半島ジオパーク公式ガイドブック
      南から来た火山の贈り物 冒険半島伊豆へようこそ』 静岡新聞社、2013年、128頁、ISBN 978-4783819448
    • 『伊豆半島ジオパークトレッキングガイド』 静岡新聞社、2015年、ISBN 978-4783819608
    • 小山真人 『伊豆の大地の物語』 静岡新聞社、2010年、303頁、ISBN 978-4783805496
    • 小山真人 『火山がつくった伊東の風景』 静岡新聞社、2009年、ISBN 978-4783897460
    • 小山真人 『火山がつくった天城の風景』 静岡新聞社、2010年、ISBN 978-4783897972
    • 小山真人 『火山がつくった西伊豆の風景』 静岡新聞社、2012年、ISBN 978-4783898269
    • 小山真人 『火山がつくった中伊豆の風景』 静岡新聞社、2013年、ISBN 978-4-7838-9851-1

    関連項目

    • 小山真人 - 火山学者で伊豆半島ジオパークの最高顧問

    外部リンク

    ウィキメディア・コモンズには、伊豆半島ジオパークに関連するカテゴリがあります。
    • 伊豆半島ジオパーク - 伊豆半島ジオパーク推進協議会
      • いずじお Blog - 事務局公式ブログ
      • 伊豆半島ジオパーク (izugeopark) - Facebook
      • 伊豆半島ジオパーク (@izugeo) - X(旧Twitter)
      • 伊豆半島ジオパーク - YouTubeチャンネル
      • 日本ジオパークネットワーク加盟申請書 (日本語) (PDF)
      • 公開プレゼンテーション「南から来た火山の贈り物」 (日本語) (PDF)
      • ジオサイト/ポイントリスト (日本語) (PDF)
    • 伊豆半島ジオパーク構想指針書 - 静岡県
      • 指針書【第1章~第4章】 (PDF)
      • 指針書【第5章~第12章】 (PDF)
      • 指針書【資料編】(ジオサイト暫定候補地リスト) (PDF)
    • 日本ジオパークネットワーク
    • 伊豆半島ジオガイド協会
    ユネスコ世界ジオパーク
    日本ジオパーク
    Category:ジオパーク