塩化オキサリル

塩化オキサリル
構造式 塩化オキサリル塩化オキサリルのCPKモデル
IUPAC名塩化オキサリル
別名二塩化オキサリル
塩化オキザリル
シュウ酸ジクロリド
分子式C2O2Cl2
分子量126.93
CAS登録番号79-37-8
形状無色液体
密度と相1.4785 g/cm3, 液体
融点−16 °C
沸点63–64 °C
SMILESClC(=O)C(=O)Cl

塩化オキサリル(えんかオキサリル, oxalyl chloride)は構造式 (COCl)2で表される化合物である。シュウ酸の2つのカルボン酸がカルボン酸塩化物となった構造を持つ、無色の液体である。有機合成化学においてよく用いられる[1]。シュウ酸を五塩化リンで処理すると得られる[2]

有機化学への応用

酸塩化物の合成

有機合成化学では、カルボン酸を対応する酸塩化物へと変換する際によく用いられる。塩化チオニルと同様、塩酸などの揮発性の副生成物が発生する。

R C O 2 H + ( C O C l ) 2 R C ( O ) C l + H C l + C O + C O 2 {\displaystyle {\rm {RCO_{2}H+(COCl)_{2}\longrightarrow RC(O)Cl+HCl+CO+CO_{2}}}}

塩化オキサリルは比較的マイルドで、より選択性のある試薬だと考えられている。触媒量のジメチルホルムアミドを添加することが多い。

芳香族化合物のアシル化

塩化アルミニウムの存在下で芳香族化合物と反応し、対応する酸塩化物を発生させる。この反応はフリーデル・クラフツ反応として知られている[3][4]。続く加水分解により、対応するカルボン酸が生成する。

ジエステルの合成

他の酸塩化物と同様、アルコールと反応するとエステルが生成する。

2 R C H 2 O H + ( C O C l ) 2 R C H 2 O C ( O ) C ( O ) O C H 2 R + 2 H C l {\displaystyle {\rm {2RCH_{2}OH+(COCl)2\longrightarrow RCH_{2}OC(O)C(O)OCH_{2}R+2HCl}}}

この反応はピリジンのような塩基の存在下で行われることが多い。なおフェノールと反応するとフェニルオキサリルエステルを生成するが、この反応はサイリュームに応用されている。

アルコールの酸化

塩化オキサリルとジメチルスルホキシドトリエチルアミンを組み合わせると、アルコールを対応するアルデヒドケトンへと酸化できる。この反応はスワーン酸化として知られている。

危険性

水と激しく反応し、塩化水素を発生する。

参考文献

  1. ^ Salmon, R. "Oxalyl Chloride" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis 2001, John Wiley & Sons, New York.DOI: 10.1002/047084289X.ro015
  2. ^ Vogel, A.; Steffan, G.; Mannes, K.; Trescher, V. "Oxalyl chloride" DE 78-2840435 19780916.Chemical Abstracts Number 93:94818
  3. ^ Neubert, M. E.; Fishel, D. L. (1990). "Preparation of 4-Alkyl- and 4-Halobenzoyl Chlorides: 4-Pentylbenzoyl Chloride". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 7, p. 420
  4. ^ Sokol, P. E. (1973). "Mesitoic Acid". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 706

外部リンク

  • 日本国 国立環境研究所 Webkis-plus シュウ酸ジクロリド
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
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