東濃鉄道C形蒸気機関車

東濃鉄道C形蒸気機関車(とうのうてつどうCがたじょうききかんしゃ)は、東濃鉄道(初代)が1921年(大正10年)に導入した蒸気機関車である。

概要

本形式は、アメリカバルカン・アイアン・ワークス製で、軌間762mm(2ft6in)、車軸配置0-6-0(C)の2気筒単式飽和式タンク機関車である。固定軸距は1,422(762+660)mmで運転整備重量は9トンである。製造番号は、1920年(大正9年)製の3056が該当すると思われるが、確証はない。竣工届は、1922年(大正11年)11月16日で、東濃鉄道での番号は4であった。

この機関車は、当初の開業時に導入した大日本軌道製のA形の使用成績があまり良くなく、予備機として1919年(大正8年)に購入契約を行ったものであるが、現車の到着は2年も遅れることとなり、御嵩延長には間に合わなかった。その代わりに急遽、石川鉄道から1両を購入し、B形(3)としている。

また、本形式の導入に当たっては、監督省庁である鉄道省からの横槍があり、設計認可申請から1年以上も設計認可が遅れることとなった。当時の記録を見ても、鉄道省の担当者の無用な経営介入というべきもので、本形式を導入するため、施設強化の認可がされていることを楯にした督促の結果、一転ようやく下付されたという。

1926年(大正15年)9月25日に実施された、東濃鉄道の路線の一部の国有化に当たっては、買収の対象とならず、残存区間を引き継ぐ新会社、東美鉄道に譲渡された。その後の1928年(昭和3年)10月、東美鉄道線の1,067mm軌間への改軌および電化工事が完成し、本形式は廃車となったが、その後の消息は明らかでない。

主要諸元

  • 全長:4,469mm(端梁間)
  • 全高:2,362mm
  • 最大幅:1,981mm
  • 軌間:762mm
  • 車軸配置:0-6-0(C)
  • 動輪直径:610mm
  • 弁装置スチーブンソン式アメリカ形
  • シリンダー(直径×行程):178mm×254mm
  • ボイラー圧力:11.2kg/cm2
  • 火格子面積:0.35m2
  • 全伝熱面積:12.0m2
  • 機関車運転整備重量:8.9t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時):8.9t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力:1,182kg
  • ブレーキ方式:手ブレーキ

参考文献

(著者・表題の五十音順)

  • 沖田祐作『機関車表 私設企業』滄茫会刊、1993年。 
  • 臼井茂信『機関車の系譜図 2』交友社刊、1973年。ASIN B000J9WXWU。 
  • 臼井茂信「国鉄狭軌軽便線 10」『鉄道ファン 1983年12月号(No.272)』。 
東濃鉄道・東美鉄道蒸気機関車
タンク機関車

A形 / 1, 2(ケ90)B形 / 3 ・ C形 / 4

名古屋鉄道の前身事業者が導入した車両
  • 名電社章 名古屋電気鉄道名鉄社章 (旧)名古屋鉄道 (-1925年)
電車
電動貨車
貨車
  • 名鉄・名岐社章 (旧)名古屋鉄道(1925年-1930年)名岐鉄道(1930年-1935年)
    尾鉄社章 尾西鉄道(1925年譲受)美濃電社章 美濃電気軌道(1930年合併)長良軽便社章 長良軽便鉄道(1920年美濃電へ合併)岐北軽便社章 岐北軽便鉄道(1921年美濃電へ合併)各鉄社章 各務原鉄道(1933年合併)
電車
気動車
客車
電気機関車
蒸気機関車
電動貨車
貨車
事業用車
  • 愛電社章 愛知電気鉄道(1935年名岐鉄道と合併、名古屋鉄道成立)
電車
電気機関車
電動貨車
貨車
  • 瀬戸電社章 瀬戸電気鉄道(1939年合併)
電車
気動車
電気機関車
電動貨車
貨車
  • 三鉄社章 三河鉄道(1941年合併)岡電社章 岡崎電気軌道(1927年三鉄へ合併)
電車
気動車
客車
電気機関車
蒸気機関車
電動貨車
貨車
事業用車
  • その他の前身事業者
渥電社章 渥美電鉄(1940年合併)
電車
電気機関車
貨車
東美社章 東美鉄道(1943年合併)
電車
蒸気機関車
竹鉄社章 竹鼻鉄道(1943年合併)
電車
貨車
谷鉄社章 谷汲鉄道(1944年合併)
電車
貨車
知多鉄社章 知多鉄道(1943年合併)
電車
碧電社章 碧海電気鉄道(1944年合併)
電車
  • 関連項目
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  • 東美鉄道