負の二項分布

負の二項分布
確率質量関数

橙の線は期待値を表し、このグラフでは全て10である。緑の線は標準偏差を表す。
累積分布関数
母数 r > 0 {\displaystyle r>0} — 試行をやめるまでの失敗回数
p ( 0 , 1 ) {\displaystyle p\in (0,1)} — おのおのの試行で成功する確率
k { 0 , 1 , 2 , 3 , } {\displaystyle k\in \{0,1,2,3,\cdots \}} — 成功回数
確率質量関数 ( k + r 1 k ) ( 1 p ) r p k , {\displaystyle {k+r-1 \choose k}\cdot (1-p)^{r}p^{k},} 二項係数を使用
累積分布関数 1 I p ( k + 1 , r ) , {\displaystyle 1-I_{p}(k+1,\,r),} 正則化された不完全ベータ関数を使用
期待値 p r 1 p {\displaystyle {\frac {pr}{1-p}}}
最頻値 { p ( r 1 ) 1 p if   r > 1 0 if   r 1 {\displaystyle {\begin{cases}{\big \lfloor }{\frac {p(r-1)}{1-p}}{\big \rfloor }&{\text{if}}\ r>1\\0&{\text{if}}\ r\leq 1\end{cases}}}
分散 p r ( 1 p ) 2 {\displaystyle {\frac {pr}{(1-p)^{2}}}}
歪度 1 + p p r {\displaystyle {\frac {1+p}{\sqrt {pr}}}}
尖度 6 r + ( 1 p ) 2 p r {\displaystyle {\frac {6}{r}}+{\frac {(1-p)^{2}}{pr}}}
モーメント母関数 ( 1 p 1 p e t ) r  for  t < log p {\displaystyle {\biggl (}{\frac {1-p}{1-pe^{t}}}{\biggr )}^{\!r}{\text{ for }}t<-\log p}
特性関数 ( 1 p 1 p e i t ) r  with  t R {\displaystyle {\biggl (}{\frac {1-p}{1-pe^{i\,t}}}{\biggr )}^{\!r}{\text{ with }}t\in \mathbb {R} }
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負の二項分布(ふのにこうぶんぷ、: negative binomial distribution)は、離散確率分布の一つ。確率 p で成功する独立なベルヌーイ試行が繰り返された時の成功回数の分布を表すという意味で二項分布によく似ているが、負の二項分布では試行回数があらかじめ決められておらず、r 回の失敗が起こるまで試行が続けられる。たとえば、コインを 5 回投げた時に表が出る回数は二項分布に従うが、5 回表が出るまでコインを投げ続けた時に裏が出る回数は負の二項分布に従う。

複数の意味

負の二項分布は、文献によって異なった意味で使われることがある。

  1. 統計的に独立なベルヌーイ試行を続けて行ったときに、k 回の失敗をする前に成功した試行回数の分布。成功と失敗の定義は逆になることもある。
  2. 同様に、統計的に独立なベルヌーイ試行を続けて行ったとき、r 回の成功を得るのに必要な試行回数の分布。
  3. 数学的に、1番目の意味でのベルヌーイ試行の r を整数から実数に拡張して考えるもの。

パラメータ

負の二項分布は、2つのパラメータを持つ。失敗回数を表す定数 r と、おのおのの試行で成功する確率 p である。r は正の整数で、p0 から 1 までの実数である。r = 1 であるときは、幾何分布になる。普通は r を正の整数とするが、数学的な拡張から、r を整数と扱わないこともある。

性質

上記のように3つの意味があるので、ここでは最初の意味に絞って解説する。最初の意味では、負の二項分布とは、おのおのの試行で成功する確率が p である独立なベルヌーイ試行を続けて行ったとき、k 回の失敗をするまでに成功する回数の分布であった。

確率質量関数
k 回の失敗までに r 回の成功が起こる確率。これは、最初の k + r 1 {\textstyle k+r-1} 回の試行のうち r 1 {\textstyle r-1} 回と、 k + r {\textstyle k+r} 回目の試行が失敗することを意味するので
f ( k ; r , p ) = Pr ( X N B ( r , p ) = k ) = ( k + r 1 r 1 ) ( 1 p ) ( r 1 ) p k ( 1 p ) = ( k + r 1 k ) ( 1 p ) r p k {\displaystyle {\begin{aligned}f(k;r,p)&=\Pr(X_{NB(r,p)}=k)\\&={k+r-1 \choose r-1}(1-p)^{(r-1)}p^{k}(1-p)\\&={k+r-1 \choose k}(1-p)^{r}p^{k}\end{aligned}}}
累積分布関数
k 回の失敗までに、r 回以下の成功が起こる確率。これは最初の k + r {\textstyle k+r} 回の試行のうち r {\textstyle r} 回以下が成功することと同値なため、二項分布に帰着する。二項分布 B ( n , p ) {\textstyle B(n,p)} の累積分布関数は正規化された不完全ベータ関数を使い I 1 p ( n k , k + 1 ) {\textstyle I_{1-p}(n-k,k+1)} と書けるので
F ( k ; r , p ) = Pr ( X N B ( r , p ) k ) = Pr ( X B ( k + r , p ) k ) = I 1 p ( r , k + 1 ) = 1 I p ( k + 1 , r ) {\displaystyle {\begin{aligned}F(k;r,p)&=\Pr(X_{NB(r,p)}\leq k)\\&=\Pr(X_{B(k+r,p)}\leq k)\\&=I_{1-p}(r,k+1)\\&=1-I_{p}(k+1,r)\end{aligned}}}
期待値
E ( X ) = p r 1 p {\displaystyle \operatorname {E} (X)={\frac {pr}{1-p}}}
分散
Var ( X ) = p r ( 1 p ) 2 {\displaystyle \operatorname {Var} (X)={\frac {pr}{(1-p)^{2}}}} .

関連項目

脚注


離散単変量で
有限台
離散単変量で
無限台
  • ベータ負二項(英語版)
  • ボレル(英語版)
  • コンウェイ–マクスウェル–ポワソン(英語版)
  • 離散位相型(英語版)
  • ドラポルト(英語版)
  • 拡張負二項(英語版)
  • ガウス–クズミン
  • 幾何
  • 対数(英語版)
  • 負の二項
  • 放物フラクタル(英語版)
  • ポワソン
  • スケラム(英語版)
  • ユール–サイモン(英語版)
  • ゼータ(英語版)
連続単変量で
有界区間に台を持つ
  • 逆正弦(英語版)
  • ARGUS(英語版)
  • バルディング–ニコルス(英語版)
  • ベイツ(英語版)
  • ベータ
  • beta rectangular(英語版)
  • アーウィン–ホール(英語版)
  • クマラスワミー(英語版)
  • ロジット-正規(英語版)
  • 非中心ベータ(英語版)
  • raised cosine(英語版)
  • reciprocal(英語版)
  • 三角
  • U-quadratic(英語版)
  • 一様
  • ウィグナー半円
連続単変量で
半無限区間に台を持つ
  • ベニーニ(英語版)
  • ベンクタンダー第一種(英語版)
  • ベンクタンダー第二種(英語版)
  • 第2種ベータ
  • Burr(英語版)
  • カイ二乗
  • カイ(英語版)
  • Dagum(英語版)
  • デービス(英語版)
  • 指数-対数(英語版)
  • アーラン
  • 指数
  • F
  • folded normal(英語版)
  • Flory–Schulz(英語版)
  • フレシェ
  • ガンマ
  • gamma/Gompertz(英語版)
  • 一般逆ガウス(英語版)
  • Gompertz(英語版)
  • half-logistic(英語版)
  • half-normal(英語版)
  • Hotelling's T-squared(英語版)
  • 超アーラン(英語版)
  • 超指数(英語版)
  • hypoexponential(英語版)
  • 逆カイ二乗(英語版)
    • scaled inverse chi-squared(英語版)
  • 逆ガウス
  • 逆ガンマ
  • コルモゴロフ
  • レヴィ
  • 対数コーシー
  • 対数ラプラス(英語版)
  • 対数ロジスティック(英語版)
  • 対数正規
  • ロマックス(英語版)
  • 行列指数(英語版)
  • マクスウェル–ボルツマン
  • マクスウェル–ユットナー(英語版)
  • ミッタク-レフラー(英語版)
  • 仲上(英語版)
  • 非心カイ二乗
  • パレート
  • 位相型(英語版)
  • poly-Weibull(英語版)
  • レイリー
  • relativistic Breit–Wigner(英語版)
  • ライス(英語版)
  • shifted Gompertz(英語版)
  • 切断正規
  • タイプ2ガンベル(英語版)
  • ワイブル
    • 離散ワイブル(英語版)
  • ウィルクスのラムダ(英語版)
連続単変量で
実数直線全体に台を持つ
連続単変量で
タイプの変わる台を持つ
  • 一般極値
  • 一般パレート(英語版)
  • マルチェンコ–パストゥール(英語版)
  • q-指数(英語版)
  • q-ガウス
  • q-ワイブル(英語版)
  • shifted log-logistic(英語版)
  • トゥーキーのラムダ(英語版)
混連続-離散単変量
  • rectified Gaussian(英語版)
多変量 (結合)
【離散】
エウェンズ(英語版)
多項
ディリクレ多項(英語版)
負多項(英語版)
【連続】
ディリクレ
一般ディリクレ(英語版)
多変量正規
多変量安定(英語版)
多変量 t(英語版)
正規逆ガンマ(英語版)
正規ガンマ(英語版)
行列値
逆行列ガンマ(英語版)
逆ウィッシャート(英語版)
行列正規(英語版)
行列 t(英語版)
行列ガンマ(英語版)
正規逆ウィッシャート(英語版)
正規ウィッシャート(英語版)
ウィッシャート
方向
【単変量 (円周) 方向
円周一様(英語版)
単変数フォン・ミーゼス
wrapped 正規(英語版)
wrapped コーシー(英語版)
wrapped 指数(英語版)
wrapped 非対称ラプラス(英語版)
wrapped レヴィ(英語版)
【二変量 (球面)】
ケント(英語版)
【二変量 (トロイダル)】
二変数フォン・ミーゼス(英語版)
【多変量】
フォン・ミーゼス–フィッシャー(英語版)
ビンガム(英語版)
退化特異
  • 円周(英語版)
  • 混合ポワソン(英語版)
  • 楕円(英語版)
  • 指数
  • 自然指数(英語版)
  • 位置尺度(英語版)
  • 最大エントロピー(英語版)
  • 混合(英語版)
  • ピアソン(英語版)
  • トウィーディ(英語版)
  • wrapped(英語版)
サンプリング法(英語版)
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